ベトナムでの転職・現地採用のオファーレターを受け取ったとき、記載されている給与額が「Gross(グロス)」なのか「Net(ネット)」なのかで、実際の手取り額は大きく変わります。求人票では手取り額が前面に出ることは少なく、この違いに気づかないまま契約を結んでしまう日本人求職者も少なくありません。
この記事では、ベトナムにおけるGrossとNetの意味の違い、現地でどちらの表記が主流なのか、そして手取りを正しく把握するための具体的なチェックポイントを解説します。
目次
Gross(グロス)とNet(ネット)の基本的な意味

日本国内での就職や転職では見かけないGrossとNetですが、まずはこの2つの言葉が指す意味を整理しておきます。
Gross(総支給額)とは
Grossとは、社会保険料や所得税などを差し引く前の額面給与のことです。基本給・諸手当を合算した金額であり、実際に銀行口座へ振り込まれる金額とは一致しません。
Net(手取り額)とは
Netとは、Grossから社会保険料の従業員負担分と個人所得税(PIT)を差し引いた後、実際に本人の手元に残る金額です。求職者が実際に受け取るのは、あくまでこのNetの金額になります。
ベトナムの求人ではGross/Netどちらが一般的か
ベトナムの求人市場では、外資系企業やIT・製造業を中心にGross表記が主流です。特に日系企業や欧米系企業では、労働契約書上もGrossベースで金額を記載するのが一般的で、社会保険料や税金は給与から控除される形で処理されます。
一方で、ローカル中小企業や一部の職種では、面接時に「手取りでいくら欲しいか」という感覚でNetの金額をやり取りするケースもあります。このため、同じ「給料はいくら」という会話でも、企業側と求職者側で前提が食い違い、後からトラブルになりやすい点に注意が必要です。
Gross/Netを混同するとどんなトラブルが起きるか

現地採用の給与交渉でよくある誤解のパターンは、次のようなものです。
- オファーレターに書かれた金額をNet(手取り)だと思い込み、実際に振り込まれた金額が想定より少なくて驚く
- 面接で口頭合意した金額がNetのつもりだったが、契約書にはGrossとして記載されていた
- 前職(日本)の手取り感覚のままGrossの金額を比較し、手取り額のシミュレーションを誤る
こうしたトラブルを避けるには、オファーレターや労働契約書に記載された金額がGrossなのか、Netなのかを必ず明記してもらい、書面で確認することが重要です。口頭でのやり取りだけで済ませないようにしましょう。
Grossから差し引かれる主な項目
Grossの給与から実際に控除される主な項目は、社会保険料(従業員負担分)と個人所得税(PIT)の2つです。Grossの金額からこれらを差し引いた残りが、実際に振り込まれるNetの給与になります。
社会保険料の計算方法は、以下の記事で解説していますので合わせてご確認ください。
ベトナムの福利厚生とは?有給・保険・テトボーナスなど日本との違いを解説
オファーレターで確認すべきチェックポイント

内定通知書や労働契約書を受け取ったら、以下の点を必ず確認しましょう。
- 提示された給与額がGrossなのかNetなのか、書面に明記されているか
- 社会保険料の控除対象となる基礎給与(基本給)がいくらに設定されているか
- 住宅手当や交通費など、社会保険料の算定基礎に含まれない手当が別途あるか
- 個人所得税の負担者は会社か本人か(一部企業ではNet契約として会社が税負担を肩代わりするケースもあります)
不明な点があれば、サインする前に人事担当者へ「この金額はGrossですか、Netですか」と直接確認することをおすすめします。
交渉の際はどちらの金額で伝えるべきか
求職者側から希望給与を伝える際は、Grossの金額で提示するのが基本です。企業側の給与制度や採用予算はGrossベースで組まれていることが多く、Netの希望額を伝えると社会保険料や税金の見積もりによって齟齬が生まれやすくなります。
可能であれば「Grossで◯◯、手取りの目安としては◯◯を想定している」というように、両方の数字を併記して伝えると、認識のズレを防ぎやすくなります。
まとめ
ベトナムの現地採用における給与は、Gross表記が主流である一方、実際の生活設計に直結するのはNetの手取り額です。オファーレターの金額がどちらを指しているのかを必ず確認し、社会保険料や個人所得税の控除内容まで把握したうえで契約に進むことが、入社後のミスマッチを防ぐ最大のポイントになります。とはいえ、こうした給与条件の確認や交渉を一人で行うのは不安な点も多いかと思います。その際は当社が間に入ってサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。
